Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

外でそんなに騒いではいけないでしょ、と家の中からせい子が、大事な物を真綿でくるむように呼びかける。はいっていらっしゃいな、ご近所のみなさんに笑われることよ。なにってやんだい、くそばばあ、とじんは嘲笑する、へっへっへだ、死んじまえ――。

そして当分のあいだ家へは近よらず、どこかの納屋とか物置で寝たり、ぬすみ食いをしたりしているのであった。

寒藤先生はこの母と子のトラブルを、なんとか好転させようと決心し、幾たびか訪問したうえ、要するに父親の不在ということが問題だと力説した。いったい父親はなぜ別居しているのか、ごくたまにしか来ないのはなぜか、そう話を進めてゆくうちに、せい子はしだいにうちとけて、じつは亭主には女があること、競輪に凝って少しも稼がず、よくよく困ったときだけ金をせびりに来るのだが、なん年もまえから夫婦関係は切れているし、自分も適当な相手があったら、もういちど家庭をもってもいいと思っている。亭主がほかに女を持って勝手なことをしているのに、あたしだけ苦労するのもつまらないはなしだから、――そう云ってせい子は、横眼づかいに、じいっと寒藤先生の眼をみつめたそうである。