Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

「猫かもしれませんよ」

「猫だって、――こんな物をか」

「このごろときどき、うちの中を通りぬけていく猫がいるんです」と八田青年は唾をのんで云った、「ずうずうしいやつでしてね、或るときは表から勝手へ、或るときは勝手からはいって来て表へというぐあいに、ゆうゆうとうちの中を通りぬけてゆくんです」

「近みちに当るわけか」と先生はヘアーピンを土間へ投げやりながら云った、「こんどそんなことをしたらだな、猫鍋にして食っちまうぞと威してやれ、人をばかにしたやつだ」

そしてまた或る朝。ふつか酔いのため食欲がなく、味噌汁ばかり啜っていた先生は、しきりに首をひねったり、上眼づかいに天床を見あげたりしたあと、きみはゆうべうなされてたか、と塾生に質問した。八田青年はこんどは狼狽の色もみせず、静かに先生に向って首を振った。

「すると夢かな」と先生は呟いた、「なんだかそのう、苦しそうに唸るんだな、ほそうい声で唸るんだ」

「猫ですよきっと」

「いやそうじゃない、きずげになりそだって云うのを聞いたよ、いや猫じゃないな、あれは」

「さかりのついた猫はおかしななき声を出しますからね、ぼくの田舎で本当にあったことですが、赤ん坊が死んだ赤ん坊が死んだという泣き声がするんですね、薪屋の裏のところで毎晩なんです、薪屋にはちょうど赤ん坊がいたんで、誰か恨みのあるやつ