Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

だが、塩山一家の貯金は確実にふえていった。同時に、反対方面からこの一家をめざして、眼に見えない或るものが忍び寄って来たのだ。

ふきが就職して半年のち、郵便局に勤めていたはるが倒れた。初めは風邪をひいただけと思われ、三日ほど休んで勤めに出たが、次に倒れたときは高熱が続き、病院へ伴れていったら結核だと診断された。入院するほうがいいと云われたが、ひとまず家へ帰って寝、入院について家族会議を開いた。

まだ健康保健医が少なかったうえに、患者数とベッド数とのひらきが大きいころで、入院治療の望みは極めて困難であった。

効果のある新薬もぞくぞく売り出されていたが、塩山家の経済では手の届かない高価なものばかりだし、それで決定的に治療するという保証もなかった。

「昔はこの病気のことをな」と父親の慶三が云った、「催促病気といって、若い娘が一度はかかるもんだとされていたんだよ」

慶三が自分の意見を述べるなどということは例が少ないので、みんなが彼の顔をみつめ、やはり一家のあるじであることを認めると同時に、この危急を救う妙案が出るものと信じて息をひそめた。だが、慶三はみんなの注視の的になってまごつき、ぐあいわるそうに顎を撫でるだけで、妙案らしいものを提出しそうにはみえなかった。