Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
安八百屋の近所には二疋の雄猫がいるし、甘露堂というたいそうな看板を掲げた駄菓子屋には、猫でも犬でも生き物さえ見れば石を投げたり、棒で叩いたりする六歳ばかりの女の児がいる。――とらにはこれらすべてが、退屈なほどみえすいていて、いまさら注意をひかれたり、好奇心を唆られたりする対象はなにもないのだ。
「ふん、いつものとおりだ」と彼は呟くようである、「こんな変りばえのしない生活を繰り返していて、よくもやつらは飽きないもんだな」
中通りを北へゆくと橋がある。掘割に架けた石の橋で、それを渡り、二た筋目の横丁を構わずとおりぬけたところに、本通りがあり、流行のトップをゆくと称する、各種の商店や貴金属店、服飾店、キャバレー、銀行、百貨店、レストランなどが軒を並べてい、道の中央に市電、車道にはトラックや自転車、多種多様な自動車などの往来が絶えなかった。
とらがここへ来るには目的があった。それは、この本通りを横切った向う横丁にある、「天松」という本格的なてんぷら屋なのだ。
本格的といったが、それはおくにさんのやっている五色揚げに対してのことで、事実は「駄てんぷら」であり、その故にまた下町の客にはよろこばれていた。