Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
には、ぶきみな凄みさえ感じられた。
「おっかさん、夜なべなんかおよしなさい、疲れますよ、――なんて云うんです」と辰弥は無表情に続けた、「肩を揉みましょうか、だとか、苦労しましたねだとか、おっかさんの夢をみて泣かない晩はなかった、だとかって、――そらぞらしいあまったれ声で、おっかさんおっかさんの云いどおしなんです」
明くる朝、辰弥が眼をさましたとき、兄はもういなかった。静岡のどこかに勤めているので、すぐに帰らなければならなかったのだ、と母は辰弥たちに語った。けれども実際はそうでなく、兄はどう云いくるめたか、母からうまく金をせびり取っていったもので、父が出張から帰ってくると、母とのあいだに初めて、かなり激しい口論がおこった。
その前後から、父の仕事はうまくいかなくなっていたようだが、躯も眼にみえて衰弱し、それをまぎらわすためだろうか、深酒を飲みだし、道傍に酔いつぶれているのを人に教えられて、母と辰弥とで伴れ帰りにゆくようなことも、幾たびかあった。
辰弥が十三になった年の冬、父は喀血をして倒れた。医者の診察によると、古い肺結核の再発で、すぐに入院しなければだめだ、ということであった。