Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

「なにをしておる、英学者」うしろで活溌な声がした、「がまぐちでも落したか」

寒藤清郷であった。辰弥はどぎまぎし、赤くなった。

「うちへ帰るところです」

「どこのうちへ帰る、もう通り過ぎとるぞ」寒藤先生は例のとおり、古ぼけたモーニング姿で、うしろに大学の応援団のような、いさましい恰好の青年を一人伴っていた。「これはわが憂国塾の塾生で、姓名は八田忠晴という」

寒藤先生はそう紹介した、「よろしく」

その青年も「よろしく」と云いながら、活溌におじぎをした。そして二人は、自由主義をばぶっ潰せ、などとうたいながら歩み去っていった。

岡田辰弥が家へ帰ってみると、兄はもういなかった。

すぐ下の弟は勤め先の人たちとハイキングにゆくと云って、朝はやくから出てゆき、二番めの弟と妹がいたのであるが、いまは母と弟の二人きりだった。

母は勝手でなにかしてい、弟は机に向っていた。辰弥は弟のそばへいって、あにきはどうした、ときいた。

「帰ったよ」と弟は答えた。

弟は英作文をやっているらしかった。机の上は書き損じた紙や、ぼろぼろになった参考書や辞典やノートなどがいっぱいで、見るだけでもうんざりした。