Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lisez 孤島の鬼 (ことうのおに) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 181 795 caractères · 359 écrans
私達はそこで何を話したか、今ではひどく気拙ずかったという感じの外は、ハッキリ覚えていないのだが、恐らく殆ど話らしい話をしなかったのではないかと思われる。それに、深山木が用事を済ませて、そのカフェを探し当てて、這入って来たのが余りに早かったのだ。
私達は飲物を前にして、長い間うつむき合っていた。私は相手を責めたい気持、彼の真意を探り度い気持で一杯ではあったが、何一つ口に出しては云えなんだ。諸戸の方でも妙にもじもじしていた。先に口を開いた方が負けだといった感じであった。奇妙な探り合いであった。だが、諸戸がこんなことを云ったのを覚えている。
「今になって考えると、僕は本当に済まぬことをした。君はきっと怒っているでしょう。僕はどうして謝罪していいか分らない」
彼はそんなことを、遠慮勝に、口の中で、くどくどと繰返していた。そして、彼が一体何について謝罪しているのか、ハッキリしない内に、深山木がカーテンをまくって、つかつかとそこへ這入って来た。
「お邪魔じゃない?」
彼はぶっきら棒に云って、ドッカと腰を卸すと、ジロジロ諸戸を眺め始めるのだった。諸戸は深山木の来たのを見ると何であったかは分らぬが、彼の目的を果しもせず、突然分れの挨拶をして、逃げる様に出て行ってしまった。