Classiques japonais avec furigana
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うかのちょうじゃものがたり
宇賀長者物語
田中 貢太郎
Lisez 宇賀長者物語 (うかのちょうじゃものがたり) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 427 caractères · 19 écrans
はな女であったよ、その女の在所へ往くには、小さな岬の下の波の打ちかける処を通らねばならなかったが、ある晩、平生のように俺はそこを歩いていた、それは月の好い晩であった、海は静に凪いで、灘一面に蒼白い月が射していた、俺は波の飛沫のかかる巌の上を伝いながら、ふと前の方を見ると、その巌から人の脊丈を三つ継いだ位離れた海の中に、満潮の時には隠れて、干潮の時に黒犬の頭のような頭だけだす礁があるが、そこにな女子が、雪のような白い胸を出しているじゃないか、おおかたその礁に両手をかけて縋りついていたろうよ、烏の羽を濡らしたような黒い頭髪は肩に重そうに垂れていた、胸から下は青い衣を着ているように、青い玉のようなものがぎらぎらとその周囲に光っていた、それを見つけた時の俺の気もちと云うものはなかったよ、俺はなんだか五色の雲に包まれて、竜宮へでも往って、乙姫様の前に出たような気になって、穴の開く程その顔を見詰めていたよ、すると女子は俺に気が注いたように、俺の顔を見て莞と笑ったが、笑う拍子に赤い下唇が動いて、なにか云ったように思ったが、それは聴きとれなかった、俺の気は、もう遠くなっていたと見える、その時、なにか知ら、ぐらぐらとしたので、気をつけてみると、俺の体は巌の端へ往って、今にも波の中へ落ち込もうとしているのを、傍の巌角にかけ