Classiques japonais avec furigana
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いえのはなし
家の話
柳田 国男
Lisez 家の話 (いえのはなし) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 799 caractères · 23 écrans
、常に郷党の精神的生活を代表せんとする概のあるのは、なるほど前代の遺風といえば遺風であるが、まだまだ日本の他の諸国の摸倣を許さざる、一つの特色となっているのである。
この場合において、苦労をして偽系図を注文し、ないしはある時代の洪水・大火に紛失したなどという言い分けをするのは、無用千万な話である。時勢が進めば次男三男の分家の殖えるのは当然のことで、本家でなければ昔からの系図はありようがない。かりに昔はあっても、幼小なる戸主または学問の嫌いな人が一代出れば、昔の固有名詞などは忘れてしまうのが当然で、先祖の固有名詞の有無によって、家の年齢を証明せんとしたのが、最初から誤りであったと思う。ことに八幡太郎とか頼政とかいうような、最も熟知せられたる前代人と系図で繋ごうとするのは、その動機のいかんを問わず、常に子供らしい空想であったといわねばならぬ。
それよりも何よりも、吾々が深く考えてみねばならぬことは、吾々の中には、一戸として先祖なしに初まった家のないことであって、その先祖の中には不幸にして記録に書き残されず、または幸いにして戦場において華々しい最後を遂げなかったにもかかわらず、人間として最も正しく、日本人として最も立派な武家兼農家の主が、古今千年の間に何千人何万人あったか分らぬということである。