Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かれい

家霊

岡本 かの子

Lisez 家霊 (かれい) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 395 caractères · 19 écrans

Aozora Bunko

窓から覗いているくめ子は、嘗て学校で見た石膏模造の希臘彫刻の円盤投げの青年像が、その円盤をさし挟んだ右腕を人間の肉体機構の最極限の度にまでさし伸ばした、その若く引緊った美しい腕をちらりと思い泛べた。老人の打ち卸す発矢とした勢いには、破壊の憎みと創造の歓びとが一つになって絶叫しているようである。その速力には悪魔のものか善神のものか見判け難い人間離れのした性質がある。見るものに無限を感じさせる天体の軌道のような弧線を描いて上下する老人の槌の手は、しかしながら、鏨の手にまで届こうとする一刹那に、定まった距離でぴたりと止まる。そこに何か歯止機が在るようでもある。芸の躾けというものでもあろうか。老人はこれを五六遍繰返してから、体をほぐした。

「みなさん、お判りになりましたか」

と言う。「ですから、どじょうでも食わにゃ遣りきれんのですよ」

実はこの一くさりの老人の仕方は毎度のことである。これが始まると店の中であることも、東京の山の手であることもしばらく忘れて店の者は、快い危機と常規のある奔放の感触に心を奪われる。あらためて老人の顔を見る。だが老人の真摯な話が結局どじょうのことに落ちて来るのでどっと笑う。