Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 411 caractères · 285 écrans
日の光は町々の屋根を掠めて、部屋の内へ射込んでいた。臥床の上にツクネンとしている叔父の前で、正太はその鉛の入った繭を転がして見せた。
夫は家を寺院と観念しても、妻はもとより尼では無かった。
そればかりでは無い、若い時から落魄の苦痛までも嘗めて来た三吉には、薬を飲ませ、物を食わせる人の情を思わずにいられなかった。彼が臥床を離れる頃には、最早還俗して了った。彼の精神は激しく動揺した。屈辱をも感じた。
兄妹の愛――そんな風に彼の思想は変って行った。彼は自分の妹としてお雪のことを考えようと思った。
十一月の空気のすこし暗い日のことであった。めずらしく三吉はお雪を連れて、町の方へ買物に出た。お雪は紺色のコートをちょっとしたヨソイキの着物の上に着て、手袋をはめながら夫に随いて行った。「まあ、父さんには無いことだ――御天気でも変りゃしないか」とお雪は眼で言わせた。
ある町へ出た。途中で三吉は立ち留って、
「オイ、もうすこしシャンとしてお歩きよ……そんな可恥しいような容子をして歩かないで。是方がキマリが悪いや」
「だって、私には……」
とお雪はすこし顔を紅めた。
買物した後、三吉はお雪をある洋食屋の二階へ案内した。