Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 411 caractères · 285 écrans
彼女の母親は、貧しい中にも娘の行末を楽みにして、画の先生へ通うことを廃めさせなかった。幾年か彼女は花鳥の模倣を習った。三吉の家に来てから、叔父は種々な絵画の話をして聞かせて、直接に自然に見ることを教えようとした。次第に叔父はそういう話をしなく成った。
庭の垣根のところには、鳳仙花が長く咲いていた。やがてお俊はそれを折取って来た。萎れた花の形は、美しい模様のように葉書の裏へ写された。その色彩がお延の眼を喜ばせた。
「叔父さん、見ちゃ厭よ」
とお俊は、傍へ来た叔父の方を見て、自分の画いた絵葉書を両手で掩うた。
学校の友達の噂から、復たお俊の話は引出されて行った。彼女は日頃崇拝する教師のことを叔父に話した。学校の先生に言わせると、この世には十の理想がある、それを合せると一つの大きな理想に成る――七つまでは彼女も考えたが、後の三つはどうしても未だ思い付かない、この夏休はそれで頭脳を悩している。こんなことを言出した。お俊は附添して、丁度先生は「吾家の祖父さん」のような人だと言った。先生と忠寛とは大分違うようだ、と三吉が相手に成ったのが始まりで、お俊は負けずに言い争った。