Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans
私は実に涙もろくて困ります――」
「まあ、行って飯でもやりましょう」と三吉も立上った。
「兄さん、兄さん、真実に考え直してみて下さい」
こう言って、直樹は三吉の後を追った。
直樹は三吉夫婦と一緒に食卓に対っても、絶間がなく涙が流れるという風であった。その晩は三人とも早く臥床に就いたが、互におちおち眠られなかった。直樹は三吉と枕を並べてしくしくやりだす。お雪もその同情に誘われて、子供に添乳をしながら泣いた。この二人の暗いところで流す涙を、三吉は黙って、遅くまで聞いた。
頑固な三吉が家を解散すると言出すまでには、離縁の手続、妻を引渡す方法、媒妁人に言って聞かせる理由、お雪の荷物の取片付、それから家を壊した後の生活のことまでも想像してみたので、一度それを口にしたら、容易に譲ることの出来ないという彼の心も、いくらか和げられたような日が来た。「君の志は有難い――まあ、僕もよく考えてみよう」こう三吉は直樹に言って、それから復た学校の方へ出掛けたが、帰って来てみると、曾根からの葉書が舞込んでいた。彼女も避暑地を発つ、奥様へ宜敷、房子様へも宜敷、と認めてあった。三吉から出した手紙は東京へ宛てたので、未だ曾根は知る筈がない。