Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いえ

家

島崎 藤村

Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

折角祝おうとした南瓜も蕗味噌も碌にお雪の咽喉を通らなかった。

「母さんは御飯が何処へ入るか分らない……」

お雪はすこし風邪の気味で、春着の仕度を休んだ。押詰ってからは、提灯つけて手習に通って来る娘達もなかった。お雪が炬燵のところに頭を押付けているのを見ると、下婢も手持無沙汰の気味で、アカギレの膏薬を火箸で延ばして貼ったりなぞしていた。

寒い晩であった。下婢は自分から進んで一字でも多く覚えようと思うような娘ではなかったが、主人の思惑を憚って、申訳ばかりに本の復習を始めた。何時の間にか彼女の心は、蝗虫を捕って遊んだり草を藉いて寝そべったりした楽しい田圃側の方へ行って了った。そして、主人に聞えるように、同じところを何度も何度も繰返し読んでいるうちに、眠くなった。本に顔を押当てたなり、そこへ打臥して了った。

急に、お房が声を揚げて泣出した。復た下婢は読み始めた。

「風邪を引いてるじゃないか。ちっとも手伝いをしてくれやしない」

こうお雪が言った。お雪はもう我慢が仕切れないという風で、いきなり炬燵を離れて、不熱心な下婢の前にある本を壁へ投付けた。

「喧ましい!」

下婢は止すにも止されず、キョトキョトした眼付をしながら、狼狽えている。