Classiques japonais avec furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Lisez 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) de 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 194 515 caractères · 389 écrans
自由画稿
はしがき
これからしばらく続けて筆を執ろうとする随筆断片の一集団に前もって総括的な題をつけようとすると存外むつかしい。書いてゆくうちに何を書くことになるかもわからないのに、もし初めに下手な題をつけておくとあとになってその題に気兼ねして書きたいことが自在に書けなくなるという恐れがある。それだから、いつもは、題などはつけないで書きたいことをおしまいまで書いてしまって、なんべんも読み返して手を入れた上で、いよいよ最後に題をきめて冒頭に書き入れることにしているのである。しかし今度は同じ題で数か月続けようとするのだから事情が少しちがって来る。もっとも、有りふれた「無題」とか「断片」とかいう種類のものにすればいちばん無難ではあるが、それもなんだかあまり卑怯なような気がする。いろいろ考えているとき座右の楽譜の巻頭にあるサン・サーンの Rondo Capriccioso という文字が目についた。こういう題もいいかと思う。しかし、ずっと前に同じような断片群にターナーの画帖から借用した Liber Studiorum という名前をつけたことがあったが、それを文壇の某大家が日刊新聞の文芸時評で紹介してくれたついでに「こんなラテン語の名前などつけるものの気が知れない」