Classiques japonais avec furigana
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したいいへん
屍体異変
森 於菟
Lisez 屍体異変 (したいいへん) de 森 於菟 (もりおと) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 047 caractères · 12 écrans
Y君は十二月も末に近い頃の或夕方教室から出て近所のレストランに夕食を摂りに行き其所で出会った友人と暫く散歩して教室へ帰って来た。教室の大戸は閉されて宿直室にのみ灯がともっている。窓を叩いて小使のHの名を呼んだ。此処にいる小使は三人共永年の勤続で実直な男であるが其中でHは酒を好んで宿直の晩にも膳の上に徳利を欠かさなかった。Y君の窓を叩いた時二合瓶を空にしていい気持になりかけた所である。そこでむしゃくしゃ腹にどてらを羽織って出て大戸をあけるなり「今頃になって誰だ」と怒鳴った。ところが対手は運わるく中学時代から硬派の青年で腕にもしたたか覚えのあるY君である。其上今度の滞留は二月を越え、元来カフェーの灯や御神灯には縁が遠く度重なる独り寝の枕に故郷の貞淑なる妻君の上ばかりを思っている彼は、二百哩とは離れていないのに海外に流浪する人の如き郷愁が欝積している所である。忽ち怒りが破裂して「貴様酒を飲んでいるな。俺が解らんか」とどなりつけた。Hも酒の勢いで向って来たので格闘になったが、こうなっては年を取ってしかも酒で体を壊しているHはY君の敵ではない。直ぐ取って押えられて平謝りに謝った。