Classiques japonais avec furigana
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びょうぶはたたまれた
屏風はたたまれた
山本 周五郎
Lisez 屏風はたたまれた (びょうぶはたたまれた) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 953 caractères · 24 écrans
するともう待ったなしで、すぐに支度をし、別れなければならないのであった。
「しょせん奥さまにはなれないのですものね」と千夜は熱い囁きで彼に迫った、「一生の思い出になるのですから、どうぞお好きなようになすって」
そのあとで千夜はいつも泣いた。
「どうして結婚できないのだ」と或るとき弥十郎が訊いた、「こうなったら結婚するのが当然ではないか」
千夜は泣くばかりであった。
「わけを聞かせてくれ」と彼はべつのときに云った、「どうして結婚できないんだ、まさか身分などにこだわっているのではないだろう、ほかに約束した者でもあるのか」
千夜はやはり泣きながら首を振るだけであった。このほか、彼女のことを知ろうとして、弥十郎はずいぶん言葉をつくしたが、千夜は「なにも訊いてくれるな」と云うばかりで、どんな質問にも答えなかった。どうやらそれがゆきを憚っているようすなので、彼は二人だけで逢いたいと云いだした。
「ええ、いまに」と千夜は頼りなげに答えた、「いまにおりをみまして」
七たびめに、彼は千夜の肩をつかみ、暴あらしく揺りたてながら「いつ二人だけで逢えるか」と迫った。閉じこめられている千夜の心を揺りさまそうとでもするように、力まかせに揺りたてながら、「いつだ、いつだ」