Classiques japonais avec furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lisez 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) de 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 284 014 caractères · 565 écrans
小窓から三窓へ出るにも二時間以上を要することは、初めて此処に登られた吉沢君の紀行から推して知ることが出来る。大窓から一日で劒岳を上下しようと企てた私達の向見ずには、池の平のさんしょううおも肝を潰したに相違あるまい。
東雲の光が雪の障子にぽうっと白く映して、大窓の夜は明けた。有明の月が山の端から青白い顔をして覗いている、私の体を藻抜け出た魂のかけらではないかと思った。今朝元気の無いのは其所為であるかも知れぬ。長次郎は厭な夢を見たと言いながら鍋を提げて米を研ぎに行く。聞いて見ると、何でも誰か岩と一緒に谷底へ落ちたのだそうだ。急いで下りて行くと息はあるが、血だらけになっているので、誰であるか分らなかったとのことである。何にしても余り吉い夢ではない、今日は少しマズイなと思う。然し何がマズイのかは私にも薩張り見当はついていないのだ。
「無用の者入ることを禁ず。大林区署」と張紙して、天幕の中に一切の荷物を残し、身軽になって出掛けた。しげしげ通行する鉱山の人夫の中には、性質のよくないのが居るかも知れぬ、うっかりすると荷物を盗まれる虞があるので、実君の発案に従ってちょいとお呪いをしたのだ、鎮西八郎お宿の格である。