Classiques japonais avec furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lisez 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) de 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 284 014 caractères · 565 écrans
「何が獲れました」
と聞かれたのは可笑しかった。左手の小高い山腹に大きな建物が見える。太陽寺だ。程なく大日向に着いて二人の男に別れた。何か食べられるものはないかと、多くもない道端の家を軒別に覗き込む。有るぞ有るぞ、古生層、黒雲毋花崗岩、絹雲毋片岩、角蛮岩。皆仲間同志で勝手に付けた駄菓子の名前である。
橋を渡って大血川の右岸に移る。炭運びの人達が女も男も入り交って、群をなしてぞろぞろと降って行く。此辺の谷間はまだ紅葉が盛りであったが、三人の目を惹き付けたものは其紅葉ではなかった。此処には「五月の若葉のような深い目をもった栃本乙女」はもとより居ない。「藍諚の大空を横さまに尖波を打ち合って鋭い白冷の光を放射する雪の山」、夫も此処からは見られない。然し三人の目を惹き付けたものが一つある。柿! あの見るからに素朴な、飾り気といっては微塵もない、粗朶のように剛ばった枝を綴って点々と赤い柿、それだ。
朴訥なる山村の秋を飾るに最もふさわしい柿、其柿が秩父には殊に多い。
大血川の村を通り抜けると果して其柿を売っていた。枝からもぎ取った許りの霜に飽いた柿の味はまた一段である。