Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lisez 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) de 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 284 014 caractères · 565 écrans
唯周囲が周囲だけに陰気であるのを免れないそうである。
成るべく瀑壺の縁に近い所を登って突端に出ると、向う側は俄に抉れて急斜面の中央に細い段のような所がある。其処に旨く路が通じていた。慥に人の通った路である。この沢へも入り込む人があるのかと不思議でならなかった。下りた河床は花崗岩らしいが、しかも著しく青味を帯びた一枚の大磐石である。左右が少しく開けて、木は繁っているが明るい感じのする所だ。暗緑に沈んだ水は音も立てずするすると辷って行く。岩の肌には水苔が滑に生えて、其上を歩くと人までがよく辷る。
平な河床は然し長く続かなかった。また滝がある、夫を踰える、また滝があるといった調子に、何でも四つ許り滝を越した。孰れも小さいのでさしたる困難はない。それでも水際ばかりは通れないので、或時は右側の藪を濳って倒木に困しめられ、或時は左側の草の生えた崖を登って上を廻ったりなどする。
「誰が通った跡だね、こんなに枝が折ってある」
「慥に人だよ、釜沢へも這入る者があるのかな」
今まで人跡未蹈と独り極めで信じていた自分等は、あれ程立派な道形があったにも拘らず、人が通ったことのない沢として置きたいので、仰山らしくこんな言葉をいい交わした。