Classiques japonais avec furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Lisez 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 441 caractères · 102 écrans
悠々たる態度でその血の痕跡(あと)と、上り框の関係を見較べた。
被害者の右脇に在る鉄槌(かなづち)を右手で(犯人を右利きと仮定して)取上げて、老爺(おやじ)の頭を喰らわせるのに都合のいい位置を考え考え、上り框に腰を掛け直してみた結果、老爺の右手の二尺ばかり離れた処が丁度いいと思った。
吾輩……すなわち犯人は、おやじがどこかへ現金を溜めている事を人の噂か何かで知っている。だから家内の様子を見定めるつもりで……泥棒に這入る瀬踏みのつもりで、夜遅く、老爺がタッタ一人で寝ているところを、近所へ気取(けど)られないように呼び起して、取りあえず上等の下駄を買って、上等の鼻緒をスゲさせている……つもりになってみる。そうして正直者の老爺が一生懸命に仕事をしている隙(すき)に、煙草を吹かし吹かしジロジロとそこいらを見廻していたであろう犯人の態度を真似てみる。つまり一廉(ひとかど)の名探偵を学んだ独芝居(ひとりしばい)であるが、やってみると何となく鬼気が身に迫るような気がする。そのうちに、フト頭の上の半分割れた電燈の笠を見上げたトタンに我輩は又、一つの素晴らしいインスピレーションにぶつかった。