Classiques japonais avec furigana
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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
Lisez 山谿に生くる人々 (さんけいにいくるひとびと) de 葉山 嘉樹 (はやまよしき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 699 caractères · 67 écrans
一つ夢、同じ夢を見続ける、というのは、医学上、どんな風な精神状態であろうか。
大山は、「両親のない子供たちは、実に可愛想です」という、ハガキの文句のために、十数年前に、ひどい努力と、アルコールの力で、忘れかけていた、永久に知る事のできない、子供たちの死因と、その死因についての想像の、無数の場合から来る、一種の焦点のような夢を、ふたたび見続けねばならない羽目に陥ったのである。
大山は、人間は不幸に暮すために生れたものではない。なるたけ、幸福に暮さなければならない、と思っていた。
ところが、大山には、幸福より不幸の方が、度々多く訪れた。
兄が死んだ、というのは、過去の事である。が、それを知ったのは、今である。そして大山は実感を以てではないが、そのことから来る生活の疲れ、というようなものを感じた。
「何だって、光線が下から匍い上がるんだろう。すっかり世の中が憂鬱になるような、光線じゃないか」
と、大山は思った。
二間位の広さで、花崗岩の腐蝕した白砂土が、太陽の直射に会って、照りかえして、足の下から部屋に射し込む。庭の向う側は、低い軒から下四尺余りは、胡桃だの、杉だの、藤だのの、濃緑色のために、暗い背景をしているのだ。