Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かわなみ

川波

久生 十蘭

Lisez 川波 (かわなみ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 022 caractères · 18 écrans

Aozora Bunko

「ひと跨ぎくらいのところなの」

泳いで渡れるところがあるなら、キャンプになんか居ることはない。

夜の十時ごろ、和田はキャンプをぬけだして、倫子が探しあてた場所へ行った。

土と草の香りがほのかに漂い、春めいた温かな夜だったが、空に風があるのか、星の光も見えないほど、あわただしく雲が流れていた。

川に近くなると、怒っているような川波の音が聞えてきた。雪解けの山々からおしだしてきたアルプス・ラインの流れが、さわがしく波立ちながら、一キロほど向うで暗いボーデン湖に注ぎこんでいた。

「ちょっとえらいな。相当あるぜ。倫子さん、大丈夫か」

「あたしなら、大丈夫。二十五メートルのプールより、いくらか長いくらいなもんでしょう。二キロもある湖水を、泳ぎ渡るひとだっているんだから」

倫子はさっさと下着だけになった。

倫子が水に入ると、すぐ和田がつづき、二人は肩をならべて川の中流へ泳ぎだした。

遠い山から出てきた新鮮なはげしい水は、油断のならない力で、二人を湖水のほうへ押し流そうとする。

和田は瑞西でさえあれば、どこの岸についてもいいつもりで、暢気にやっていたが、倫子は町の灯に目標をたて、是が非でもそこへ泳ぎつこうと、躍起となっているふうだった。