Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おぐらいけのはす

巨椋池の蓮

和辻 哲郎

Lisez 巨椋池の蓮 (おぐらいけのはす) de 和辻 哲郎 (わつじてつろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 016 caractères · 12 écrans

Aozora Bunko

右のような時刻には、外気が冷たくなり、蕾の内部の気温との相対的な関係が、昼間と逆になるはずである。何かそういう類の微妙な空気の状態が、蓮の開花と連関しているのかもしれない。その点から考えると、気温の最も低くなる明け方が、最も開花に都合のいい時刻であるかもしれない。しかしそれにしても、あの妙な音は何だろう。それを船頭にただしてみると、船頭は事もなげに、あああれだっか、あれは鷭どす、鷭が目をさましよる、と言った。

そういうことに気をとられているうちに、いつか舟はひろびろとした池の中に出ていた。そうしてあたりの蓮の花がはっきりと見え出した。夜がほのぼのと明け初めたのである。その変化はわりに短い時の間に起こったように思われる。ふっと気がついて見ると、私たちは見渡す限り蓮の花ばかりの世界のただ中にいたのである。

蓮の花は葉よりも上へ出ている。その花が小舟の中にすわっているわれわれの胸のあたり、時には目の高さに見える。舟ばたにすれすれの花から、一尺先、二尺先、あるいは一間先、二間先、一面にあの形の整った、清らかな花が並んでいるのである。舟の周囲、船頭の棹の届く範囲だけでも何百あるかわからない。