Classiques japonais avec furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lisez 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 365 120 caractères · 728 écrans
お駒ちゃんは、じっと眼をすえて、おせい様が何かいうのを、きいているところであった。
磯五はそこへふところ手をして、はいって行った。おせい様は、待っていたような、よろこばしそうな顔で磯五を迎えた。
「出て行ったきり、いつまでもお帰りがないから、どうしたかと思って、さがしに来たのですよ」磯五はお駒ちゃんを見て、いった。「気分は直ったかい。気分が直ったら、食べ立ちのようだが、そろそろおいとましようじゃないか」
「あなたは、まだいいじゃありませんか。わたしはいまお駒さんに、わたしに遠慮せずに早く帰ってお寝みになるように説いていたところでございますよ」
「いいんですよ。もういいんですよ」お駒ちゃんは、そうあわて気味に口をはさんだ。幾分うるさそうな口調だった。
「ほっといてくださいよ」
お駒ちゃんは、ぞんざいなことばでなら、かなり雄弁家なのだ。が、すこしあらたまった口になると、容易に舌が動かないのだ。
おせい様は、今のように、お駒ちゃんに下品なところが見えると、兄の磯五がこの人を江戸に残して旅に出て、そのあとで下女奉公になぞ住み込んで歩いているうちに、こんなふうになったのであろうと思って、いまさらのように、兄の磯五をも妹のお駒ちゃんをも、気の毒に思うのだった。