Classiques japonais avec furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lisez 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 365 120 caractères · 728 écrans
磯五は、からだいっぱいにお高を押し倒して、証文をつかんだ。が、磯五の目的は、証文ばかりでないようで、証文を握っても、お高のうえをどこうとしなかったから、お高は真剣に狼狽した。
「いけません! 声を立てますよ」
お高が大きな息を吸うと、磯五のにおいが鼻の奥までしみこんできて、お高は、ちょっとうっとりしそうになった。自分をしかって、どさどさもがいていると、磯五はあきらめて、たち上がった。着物を直しながら、すっぱそうな笑いを落とした。
「冗談だ――」
「冗談でも、いけませんよ」
お高も、そこここ乱れたところをつくろっていた。磯五をそんなに近く感じたことがきまりが悪くて、顔が上げられない気もちだった。その膝の上へ、磯五の手から証文の束が投げ返された。
「冗談だ。こんなものはいらねえや」
「いらなければなお縁切り状を書いてくださいよ」
「よし。書いてやろう。が、高音、いま一度、考え直してみねえか」
「考え直すことはありませんよ。お前さまはわたしにとって、死んだ人ですからねえ」
「ここでおれと別れてどうしようというのだ。あの盲野郎のところへでも納まる気かい」
「そんなことは大きにお世話さまですよ。