Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じょうしき

常識

豊島 与志雄

Lisez 常識 (じょうしき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 237 caractères · 33 écrans

Aozora Bunko

一

富永郁子よ、私は今や、あらゆるものから解き放された自由な自分の魂を感ずるから、凡てを語ろう。語ることは、あなたに別れを告げることに外ならない。別れを告げる時になってほんとに凡てを語る――これは人間の淋しさである。

あなたの生活について、行動について、私が最初に或る要求をもちだした日のことを、あなたは覚えているだろう。あの日の午後、私たちは鎌倉山のロッジの前で自動車を棄てた。ロッジは何かの普請中でしまっていたが、私たちはそれを遺憾とも思わないで、初秋の冷かに澄んだ光の中を、恋人どうしのように歩いていった。秋草の花、薄の穂、青い海、そして富士山がくっきりと空に浮出していた。晩になると、あの富士山の左手、箱根の山に、航空燈がきらめく……と、そんなことをあなたは話した。そうした言葉を私がなぜはっきり覚えているかというと、その頃丁度私は、航空燈の光のようなものを求める気持になっていたからである。

私は一個のルンペンに過ぎなかった。会社の金を拐帯して上海へ飛び、非合法な商売で生活に困らないだけのものを得て、また東京にまい戻り、さてこれから如何なる生活を為すべきかと思い迷ってる、一介の不徳なルンペン坪井宏に過ぎなかった。