Classiques japonais avec furigana
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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Lisez 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) de 高村 光雲 (たかむらこううん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 774 caractères · 6 écrans
しかるに、私の考えと、政吉の考えとは、どうも一致いたしませんで、政吉はまず差し当りの儲けを見て行くという意見で、たとえば私が下職の方の塗師の上手の方へやろうというのでも、政吉は安手の方の塗師重で済まして、手間を省こうという遣り口。しかし昼間はすべて私が積りをして、これこれの目算を立て、政吉に一応相談をすると、それが好いだろうと同意している。私はその手順にして夜分家に帰ると、夜になって、政吉は、未亡人に向い、
「幸吉はこれこれと積っているが、あれでは儲けが薄い。素人の客に馬鹿念を入れてやって見たってしようがない。塗りのことなんぞ素人に分るもんじゃない」
などいう風に自分の意見を吹き込むので、度重なれば、未亡人は利溌な人であっても、やっぱりその気になって、政吉の意見に従おうとする。それに政吉は当時師匠の没後ずっと師宅に寝泊まりをしていて、遠慮のない男で、夜になると、酒を火鉢で燗をしてのむなど甚だ不行儀で、そのくせ、必要な客との応対などは尻込みをして姿を隠すなど、なかなか奇癖のある人物で、私とはどうも性が合いかねました。
まず右のような行きさつで、私が一つこの際踏ン張るとすると、勢い兄弟子を下ッ取りにしなければならぬ。