Classiques japonais avec furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lisez 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) de 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 81 548 caractères · 161 écrans
例のに違いない。
私は起上ってブラリと廊下へ出た。
五十三
廊下へ出て耳を澄して見たが、三味線は聞えても、矢張歌が能く聞えない。が、愈例のに違いないから、私は意を決して裏梯子を降りて、大廻りをして、窃そり台所近くへ来て見ると、誰も居ない。皆其隣の家の者の住居にしてある座敷に塊まっているらしい。好い塩梅だと、私は椽側に佇立んで、庭を眺めている風で、歌に耳を傾けていた。
好い声だ。たッぷりと余裕のある声ではないが、透徹るように清い、何処かに冷たい処のあるような、というと水のようだが、水のように淡くはない、シンミリとした何とも言えぬ旨味のある声だ。力を入れると、凛と響く。脱くと、スウと細く、果は藕の糸のようになって、此世を離れて暗い無限へ消えて行きそうになる時の儚さ便りなさは、聴いている身も一緒に消えて行きそうで、早く何とかして貰いたいような、もうもう耐らぬ心持になると、消えかけた声が又急に盛返して来て、遂にパッと明るみへ出たような気丈夫な声になる。好い声だ。節廻しも巧だが、声を転がす処に何とも言えぬ妙味がある。ズッと張揚げた声を急に落して、一転二転三転と急転して、何かを潜って来たように、パッと又浮上るその面白さは……なぞと生意気をいうけれど、一体新内をやってるのだか、清元をやってるのだか、