Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

としのせのおと

年の瀬の音

山本 周五郎

Lisez 年の瀬の音 (としのせのおと) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 241 caractères · 5 écrans

Aozora Bunko

それほどの降りではないが、雨の降っていることも気づかないほど、なにか思いあぐねているのだろうか。年配から察すると背中の児のほかに一人や二人の子があるであろう。妻の病気、それとも妻がかせいでいるのか、などという想像をいささかも要しないほど、赤児を背負って雨の中を歩いてゆくその男の姿は、人間生活のもろさとはかなさを語っているようであった。

街をゆくと大売出し、タナざらい、残品サービスセール、全店半額、などという旗やビラが軒並にかかげられ、スピーカーや店員たちの客を誘惑しようとする声がかみついてくる。時を刻む秒読みのような音であり、色であり、文字であって、人は最後の列車に乗りそこなうのではないかというようなせかせかした不安定な気分にとらわれるのである。こういう街の中を一人の紳士が子犬をつれて歩いていた。ぼろぼろになった古洋服の上着に、ボタンがないものだからなわの帯をしめ、半ば裂けて布地のひらひらするズボンにゾウリをはいている。ズボンのさけ目からはあかだらけの毛ズネが見えるし、えり首などもあかでどす黒く、それで髪毛だけはかりたてで油が光っている。これらの紳士社会では十円玉一個で調髪する専門家がいるそうであるが、この紳士も正月用に調髪したものであろう。