Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ねんまつのいちにち

年末の一日

芥川 竜之介

Lisez 年末の一日 (ねんまつのいちにち) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 979 caractères · 7 écrans

Aozora Bunko

………僕は何でも雑木の生えた、寂しい崖の上を歩いて行った。崖の下はすぐに沼になっていた。その又沼の岸寄りには水鳥が二羽泳いでいた。どちらも薄い苔の生えた石の色に近い水鳥だった。僕は格別その水鳥に珍しい感じは持たなかった。が、余り翼などの鮮かに見えるのは無気味だった。――

――僕はこう言う夢の中からがたがた言う音に目をさました。それは書斎と鍵の手になった座敷の硝子戸の音らしかった。僕は新年号の仕事中、書斎に寝床をとらせていた。三軒の雑誌社に約束した仕事は三篇とも僕には不満足だった。しかし兎に角最後の仕事はきょうの夜明け前に片づいていた。

寝床の裾の障子には竹の影もちらちら映っていた。僕は思い切って起き上り、一まず後架へ小便をしに行った。近頃この位小便から水蒸気の盛んに立ったことはなかった。僕は便器に向いながら、今日はふだんよりも寒いぞと思った。

伯母や妻は座敷の縁側にせっせと硝子戸を磨いていた。がたがた言うのはこの音だった。袖無しの上へ襷をかけた伯母はバケツの雑巾を絞りながら、多少僕にからかうように「お前、もう十二時ですよ」と言った。成程十二時に違いなかった。