Classiques japonais avec furigana
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げんだん
幻談・観画談 他三篇
幸田 露伴
Lisez 幻談・観画談 他三篇 (げんだん) de 幸田 露伴 (こうだろはん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 80 544 caractères · 161 écrans
と、ただ無意識で正直な挨拶をしながら、自分は凝然と少年を見詰めていた。その間に少年は自分が見詰められているのも何にも気が着かないのであろう、別に何らの言語も表情もなく、自分の竿を挙げ、自分の坐をわたしに譲り、そして教えてやった場処に立って、その鉤を下した。
ヤ、有難う。
と自分は挨拶して、乱杭のむこうに鉤を投じ、自分の竿を自分の打った釘に載せて、静かに竿頭を眺めた。
少年も黙っている。自分も黙っている。日の光は背に熱いが、川風は帽の下にそよ吹く。堤後の樹下に鳴いているのだろう、秋蝉の声がしおらしく聞えて来た。
潮は漸く動いて来た。魚はまさに来らんとするのであるがいまだ来ない。川向うの蘆洲からバン鴨が立って低く飛んだ。
少年はと見ると、干極と異なって来た水の調子の変化に、些細の板沈子と折箸の浮子とでは、うまく安定が取れないので、時※(二の字点、1-2-22)竿を挙げては鉤を打返している。それは座を易えたためではないのであるが、そう思っていられると思うと不快で仕方がない。で、自分は声を掛けた。
兄さん、此処は潮の突掛けて来るところだからネ、浮子釣ではうまく行かないよ。