Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

でしのこころ

弟子の心

宮本 百合子

Lisez 弟子の心 (でしのこころ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 926 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

先生が、試験の点どころか、恐らく学校の成績にさえ、拘泥して居られないことは解っていた。けれども人を観ることの鋭い先生に、出来ない生徒と極めつけられることは、恥しく堪え難いことなのであった。

五年生になってから、私共は教育心理学を教わることになった。そして、先生の人格的の影響は、愈々大きく成った。

一週二時間の教育の時間を、私は如何那に待ち、楽しんだろう。私にとって学問らしい学問は、千葉先生の時間ほかなかった。僅か一時間の課業ではあったが、講義の一回毎に、頭が蓄る知識で重くなるようにさえ感じた。窮屈な文部省の綱目に支配された女学校の課程の中で、教育だけは先生の自由にまかされていたと見え、飢え饑えていた若い知識慾が、始めて満される泉を見出したのであった。

生徒として、私は不規則な我まま者であったが、千葉先生の時間は、一度でもおろそかにしたことはなかった。この時間中だけ、平常妙に表面的に、形式的に扱われている人間と云うものが、真個に生き、意慾し、活動する生存とし、左右から見られ、切り下げられ、探究されるよろこばしさは、例えるに物がなかった。

心理学と云う学問そのものが珍しかったことは争えない。