Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かげをふまれたおんな

影を踏まれた女

岡本 綺堂

Lisez 影を踏まれた女 (かげをふまれたおんな) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 608 caractères · 23 écrans

Aozora Bunko

「なぜそんな事を気にするんだろう。あの晩もわたしが一緒に送って来ればよかったっけ。」

「だって、なんだか気になるんですもの。」と、おせきは低い声で訴えるように言った。

「大丈夫だよ。」と、要次郎はまた笑った。

「大丈夫でしょうか。」

二人はもう宇田川町の通りへ来ていた。要次郎の言った通り、この極月の寒い夜に、影を踏んで騒ぎまわっているような子供のすがたは、一人も見いだされなかった。昔から男おんなの影法師は憎いものに数えられているが、要次郎とおせきはその憎い影法師を土の上に落としながら、摺り寄るように列んであるいていた。もちろん、ここらの大通りに往来は絶えなかったが、二つの憎い影法師をわざわざ踏みにじって通るような、意地の悪い通行人もなかった。

宇田川町を行きぬけて、柴井町へ踏み込んだときである。どこかの屋根の上で鴉の鳴く声がきこえた。

「あら、鴉が……。」と、おせきは声のする方を見かえった。

「月夜鴉だよ。」

要次郎がこう言った途端に、二匹の犬がそこらの路地から駈け出して来て、あたかもおせきの影の上で狂いまわった。はっと思っておせきが身をよけると、犬はそれを追うように駈けあるいて、かれの影を踏みながら狂っている。