Classiques japonais avec furigana
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ふくしゅう
復讐
夢野 久作
Lisez 復讐 (ふくしゅう) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 695 caractères · 46 écrans
……やがて診察室の中央に吊るされた電球が、眼も眩むほど輝き出した。
暖かい奥座敷から、急に氷点以下の寒い処に出て来たせいか、品夫の血色は全く無くなっていた。顔も手足も、それこそ雪のように真白く透きとおっていたが、それが黒い髪を長々とうしろへ垂らして、燃え立つような長襦袢を裾も露わに引きはえつつ、青白い光線をふり仰いで眼を細くした姿は淫りがましいと云おうか、神々しいと形容しようか。人間の眼に触れてはならぬ妖艶しさの極み……そのものの姿であった。
しかし、雪に鎖された藤沢病院の、深夜の診察室に、こんな姿が立ち現われていようことは、誰一人思い及び得よう筈が無かった。すべては零下何度の空気に包まれて、シンカンと寝静まっていた。そのような静けさの中にスックリと立ち止まった品夫は、いかにも眩しそうなウッスリした眼つきで、そこいらを一渡り見まわしていたが、間もなく室の隅に置いてある四方硝子張りの戸棚に眼をつけると、ヒタヒタと歩み寄って、重たい硝子戸を半分ほど開いた。そこから白い片手を突込んで、方形の瀬戸引きバットに並んでいる数十のメスをあれかこれかと選んでいたが、やがてそのバットの外に、タッタ一つ投げ出してある大型の一本を取り上げた。