Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こころのかわ

心の河

宮本 百合子

Lisez 心の河 (こころのかわ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 442 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

彼は苦労も不安もないらしく、艶の好い、型通り青年紳士の顔を、悠々居間の灯の下に浮上らせているのだ。――

彼女が指先に絡めて編んでいた絹糸のように、慎ましく輝き、滑らかであった生活は、少くともさよの心の内で変化した。彼女は、良人と自分との調和ある沈黙の頷き合いは、散歩に出ようか出まいかということ、二人共が丁度同じ時番茶を飲みたいと思うこと等以外に、果してどこまで深く連絡があるかひどく疑わしい心持に、結婚後始めて逢着したのであった。

四

四辺はもう六月であった。

さよは、独りになると、いよいよ濃い青葉のちらちらする縁側に出、鮮やかな紫陽花の若葉の色だの、ガラス鉢の水を緋や白に照して泳ぎ廻る金魚だのを眺めながら、種々な考えに耽った。

これほど心を捕われることから見ても、さよは、自分がどの位良人に執着しているか、はっきり解った。けれども、何故執着しているのか。愛しているから。それなら彼のどこを何を愛しているのかと自問自答して行くと、彼女は、苦しい心持になった。良人と切りはなせない絆を感じる心持と、彼の物足りなさ、詰らなさ、自分の求めるものが決して彼の裡にはないという事実とは、彼女の心の裡で厳然と対立した。