Classiques japonais avec furigana
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おもいでのき
思い出の記
小泉 節子
Lisez 思い出の記 (おもいでのき) de 小泉 節子 (こいずみせつこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 841 caractères · 62 écrans
私はよく朝顔の事を思い出します。段々秋も末になりまして、青い葉が少しずつ黄ばんで、最早ただ末の方に一輪心細げに咲いていたのです。ある朝それを見ました時に『おゝ、あなた』と云うのです。『美しい勇気と、如何に正直の心』だと云うので、ひどく賞めていました。枯れようとする最後まで、こう美しく咲いて居るのが感心だ。賞めてやれ、と申すのでございます。その日朝顔はもう花も咲かなくなったから邪魔だと云うので、宅の老人が無造作に抜き取ってしまいました。翌朝ヘルンが垣根のところに参って見るとないものですから、大層失望して気の毒がりました。『祖母さんよき人です。しかしあの朝顔に気の毒しましたね』と申しました。
子供が小さい汚れた手で、新しい綺麗なふすまを汚した事があります。その時『私の子供あの綺麗をこわしました、心配』などと云った事もありました。美しい物を破る事を非常に気に致しました。一枚五厘の絵草紙を子供が破りましても、大切にして長く持てば貴い物になると教えました。
祭礼などの時には、いつももっと寄附をせよと申しました。少し尾籠なお話ですが、松江で借家を致しました時、掃除屋から、その代りに薪(米でなく)を持って来てくれた話を聞いてヘルンは大層驚いて『私恥じます、これから一回一円ずつおやりなさい』