Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

Lisez 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) de 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 233 caractères · 223 écrans

Aozora Bunko

(まあいい、「サフラン」でアリバイをたててくれるだろう――)

彼は仕様事なしに、又沖に眼をやると、恰度今、早打がはじまったところで、

ポン、ポン、ポン、ドガァーン。

とはずんだ音が響き、煙の中からぽっかりと浮出した風船人形が、ゆたりゆたりと呆けたように空を流れ、浜の子供たちがワーッと歓声をあげ乍ら、一かたまりになって、それを追かけて行くところであった。

浜は、この奇怪な殺人事件の起ったのも知らぬ気に、最も張切った年中行事の一つである海岸開きに、溌剌とわき、万華鏡のように色鮮やかに雑沓していた。

×

あの華やかにも賑わしい「海岸開き」の最中に、突然浜で起った奇怪極まる殺人事件は、その被害者がきわだった美少女であった、ということ以外に、その殺人方法が、また極めて不思議なものであった――ということで、すっかり鷺太郎の心を捕えてしまったのだ。

彼は、サナトリウムに帰っても、その実見者であった、ということから、好奇にかられた患者や看護婦に、幾度となく、その一部始終を話させられた。

然し、いくら繰返し話させられても、ただそれが稀に見る不可思議な犯罪だ、ということを裏書し、強調するのみで、とても解決の臆測すらも浮ばなかった。