Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

Lisez 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) de 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 233 caractères · 223 écrans

Aozora Bunko

で、どうでした。ネネはあなたに何んといいました?』

『ふっふふふ……私が、こんな淋しい町に一人ぽっちで神経衰弱を養いに来ていることで十分おわかりでしょう』

『そうですか、あなたは失恋したのですね、お気の毒ですが――。でも、悪く思わないで下さい。ネネには僕と前からの約束があったんですから……』

男は、かすかに現われた安堵の表情を、強いて隠すように嗄すれた小声でいった。

だが、私は眼をつぶって、

『いや、ネネは結婚したんです――』

『えッ』

その男の驚きの声が、いきなり私の眼をつぶった耳元でした。それはハッハッというような、激しい呼吸の音と一緒であった。

そして、「まさか……冗談でしょう」といいたげな彼の気持を、十分に感じた私は、猶も眼をつぶった儘、二三度頭を振って、

『結婚したんですよ、本当に――。その為に私は失恋れたんです。ご存知かも知れません、木島三郎という男のところへ行ったのです』

『ああ、木島。東洋劇場の支配人……だった』

『そうです。若くて、金があって、しかもいい地位にいる、あの男です。私は残念ながら、ネネを最後まで満足させることが出来なかったんです、ネネは大勢の人々に讃美渇仰される為には、何物も惜しまぬ女ですからね。