Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きょうふのくちぶえ

恐怖の口笛

海野 十三

Lisez 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 60 713 caractères · 122 écrans

Aozora Bunko

「よオし。愚図愚図していないで、その吸血鬼を捉えてやらねばならん」

西一郎は咄嗟に決心を固めた。そして彼は身を起すと、芝草を踏んで、小径の方へ駈けだした。

「こーら、出てこい。人殺し奴、出てこい。……」

彼は阿修羅のようになって、ここの繁み、かしこの藪蔭に躍り入った。彼の上品な洋袴はところどころ裂け、洋杖を握る拳には掻き傷ができて血が流れだしたけれど、一郎はまるでそれを意に留めないように見えた。

公園の東の隅には、元の見附跡らしい背の高い古い石垣が聳えていた。ここはあまりに陰気くさいので、いかに物好きな散歩者たちも近よるものがなかった。一郎は前後の見境もなく、石垣の横手から匍いこんだ。そこには大きな蕗の葉が生え繁っていたが、彼が猛然とその葉の中に躍りこんだとき、思いがけなくグニャリと気味のわるいものを踏みつけた。

「呀ッ――」

と、彼は其の場に三尺ほど飛び上った。

だが彼は、その叫び声に続いて、もう一つの驚きの声を発しなければならなかった。なぜなら、その密生した蕗の葉の中から、イキナリ一人の男が飛びだしたからであった。一郎が踏みつけたのは、その葉かげに寝ていたかの男の脚だったにちがいない。