Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きょうふおう

恐怖王

江戸川 乱歩

Lisez 恐怖王 (きょうふおう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 66 038 caractères · 133 écrans

Aozora Bunko

そして、夏子の美しい顔が、ズーッと遠く小さくなって、いつとはなく意識がぼやけて行った。

蘭堂は、目まぐるしく変転する長い長い夢を見つづけていた。

それは歯の根も合わぬ程恐ろしい快い悪夢であった。真暗な中に白い巨大な芋虫の様なものが、無数にクネクネとよじれ合っていた。それが様々の色に変って行った。赤い芋虫が一等恐ろしく、ゾッとする様な魅力を持っていた。

変転する場面は、皆その様な感じのものであった。どれもこれも身の毛もよだつ悪夢であった。

夢見ながら、触覚では、絶え間なく、暖くて柔い触手の様なものでくすぐられるのを感じていた。

グッショリ油汗になって、ふと目を覚ますと、顔の上に何か重い柔いものが乗っかっていた。それが夏子の顔であることを悟るのに長い時間かかった。

彼が身動きすると、夏子は顔を離して、枕元に立った。もうちゃんと着替えをすませて、お化粧さえしていた。

まだおぼろげな意識で、ぼんやり見上げている蘭堂の頬を、軽く叩いて、彼女はニッコリ笑った。

「可愛いお坊ちゃん、お目がさめて?」

そういったかと思うと、彼女は何か用ありげに寝室の外へ出て行ってしまった。