Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lisez 我が家の楽園 (わがやのらくえん) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 90 195 caractères · 175 écrans

Aozora Bunko

あんな大屋台を背負いこんで、税金を払うために、いまよりひどい暮らしをするなんて、バカげたことがあるでしょうか」

石田氏は胸もとから手先だけだし、豊かとはいいにくい、薄手な口髭を撫でていたが、

「そんなに厄介なら、火をつけて焼いてしまえばいい。それ以外に、手はなかろう」

虚無的なことをいって、会議を荒しにかかると、五十雄君が、

「ちょっと、言わしてもらって、いいですか」

と、つづきの六畳から仲裁に入った。

特攻隊に入る前は、赤くなったり黒くなったり、思想の色目を変えるのにいそがしく、頭脳の発達は、高校の一年生ぐらいのところでとまったが、ベッドにしばりつけられて、天井ばかりながめて暮らしているうちに、すき透るように眼のなかが澄んできて、どこかの聖人みたいな神々しい顔つきになった。めったにものを言わないが、なにかもめごとがあると、単純だが落ち着いた、道徳的な意見をのべる。千々子さまだけは例外だが、石田一家の倫理の規範は、ほとんどすべての場合、ジェラルミンのバックボーンを背負ったわが家の『良心』によって支配される。この楽園において、五十雄君の声は、あたかも神の声に近いものになっているのである