Classiques japonais avec furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lisez 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 728 caractères · 231 écrans
ぢつと聞いてゐると
皿やナイフの音がしてくる
堀は本所小梅町にいるころ、私に言問のおだんごを持って来てくれ、追分にいて達者な時には冬も温かい清水に生える芹とか、春先には蕗の薹をさげて上京して私にくれた。だから堀の死後名も知らぬ人達からの贈物が、堀の家にはいつも豊富に床の間にあった。いいね、甘い物がたくさんあっていいねと私はそれを褒めるが如く言ったが、このごろではその贈物も絶え、ようやく古手紙の整理をするほど、たえ子は暇ができていた。私は笑いながら言った。おいしいお菓子があいかわらず山積してお困りだろうにというと、もう郵便もお菓子も来ないわよ、雑誌なぞ皆買って読んでいるわ、一冊も来るもんじゃないと彼女は言った。そうとも、雑誌はあなたに読んで貰うために贈られているんじゃないし、人間の死というものも恐るべきことは、つねにあたらしい死がいたましく思われるからである。古い死は古いために奥へ奥へと片づけられて行くのだと私は言い、しかも自分の言葉にリツ然としたくらいであった。
「時どき現われて来ては突っつき返すわね、じっとしていると表から呼び出すように仰有るわね。