Classiques japonais avec furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lisez 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 728 caractères · 231 écrans
この扇は誰かに貰ったのかと聴くと、彼は笑ってとうとう見付かった、実は貰ったような貰わないような曖昧の状態で持って来た扇だと言い、茅野さんのお宅の近くの別荘の人から貰った物だといって、いい扇でしょう、と彼はそれを開いて風を入れて見せた。孰れは此方に連れて来たいのだが、連れて来るのに気遅れがして困るといった。悪く見られるのもいやだし、そんなに美人でもないのだからと、彼ははじめて繁々と東京と千ガ滝の間を往復するわけを話し出した。自分としては余りに内気で温和しい人であることが気に入り、二つの美点につながっているのだと、その話振りには私にその女の人を一遍見せたい気がたくさんにあるだけに、見せるのを惜しむような気もあるらしい。男でも、若い内に女の人ができると、自分の一等親しい人に見てもらいたいし、見せて褒めてほしいものであった。若し見せてから褒めてもらえない場合があると、悲観して見せなければ宜かったとおもうものだ。信夫もこの二つの問題をいつも頭に置いて、東京と軽井沢の間を往還していた。
若し此方に連れて来てよいようなら、一度誘って来てもよい、兄秀夫には大体の事を話して置いたから、兄から父に話して貰い、父から母に話してもらう手順だが、母はだいぶ前から一人で心決めにしている娘さんがいるので、母の城を落すことも容易では