Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるおとこのしゅき

或る男の手記

豊島 与志雄

Lisez 或る男の手記 (あるおとこのしゅき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 43 279 caractères · 86 écrans

Aozora Bunko

そしてその日の午後に、私は身体一つで松本さんの下宿へ飛んでいきました。松本さんは私がやって行くと、ただ遊びに来たものとでもお思いなすったのでしょう、初め何だか嬉しそうにそわそわしていらしたが、私の様子がやはり変だったと見えて、いやに真面目な鹿爪らしい調子で、いろんなことをお聞きなさるんです。私も初めから何もかも訴えて縋りつくつもりだったものですから、これまでのことを残らず話してしまいましたの。すると、松本さんは非常に憤慨なすったので、私もまた更に腹が立ってきて、二人でさんざん河野さんの悪口を云っていますと、途中から、松本さんはいやに黙り込んでおしまいなさるんです。晩の御飯を頂いてる時なんか……だって外に出かける間がないうちに、日が暮れてしまったんですもの。下宿屋の御飯なんか、薄穢くて私もうつくづく厭ですわ。それを松本さんはうまそうに召上りながら、何だかじっと考え込んで、碌々私に返辞もなさらないんでしょう。そして御飯が済んで暫くたつと、いきなり私の方に向き直って、河野さんのやり方は何処までも悪い、然しあなたは全然正しいかって、そう仰言るんです。全然正しいって……まあ何のことでしょう。