Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるおとこのしゅき

或る男の手記

豊島 与志雄

Lisez 或る男の手記 (あるおとこのしゅき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 43 279 caractères · 86 écrans

Aozora Bunko

そして私の精神はだらけきり、私の生活はなまぬるい陰欝なものになり、而も私の魂はまだ諦めきれずに、いつも落着かない焦燥のうちに悶えていた。

妙に暖い薄曇りの日だったが、そのなま白い朝の明るみの中で、私は自分の姿を堪らなく惨めに感じ、その感じが前々日来の記憶に更に助長せられて、凡てに反撥するような心地から、前夜妄想のうちにふと浮べた決心を、私はほんとに固めてしまったのである。その決心とは、光子に逢ってみることだった。逢ってどうしようというのではない。逢ったらどうにかなるだろうというのだった。恐らくは、前夜松本に余り歯が立たなかった不満や、俊子の様子から受ける不安や、事情の切迫から来る脅威や、光子に対する好奇心や、自分の性的無力を証拠立てられた苛立ちや、其他いろんなこと――自分にだって一々分るものか――何やかやがつけ加わってはいたろうけれど――要するにそれは私にとって、凡てのものに対する最後の反抗の試みだった。道徳的な批判や良心なんかは、私には少しもなかった。

そこで私は、その午前中には俊子が出かけられないことを推測し――俊子より前に光子へ逢わなければいけなかった――会社へ行く風をして朝早めに出かけ、河野さんの家のまわりをひそかにぶらつき、十町ばかり離れた所に場所を選定し――他に適当な場所が見当らなかったので