Classiques japonais avec furigana
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あるひのおおいしくらのすけ
或日の大石内蔵助
Lisez 或日の大石内蔵助 (あるひのおおいしくらのすけ) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 830 caractères · 18 écrans
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それから何分かの後である。厠へ行くのにかこつけて、座をはずして来た大石内蔵助は、独り縁側の柱によりかかって、寒梅の老木が、古庭の苔と石との間に、的たる花をつけたのを眺めていた。日の色はもううすれ切って、植込みの竹のかげからは、早くも黄昏がひろがろうとするらしい。が、障子の中では、不相変面白そうな話声がつづいている。彼はそれを聞いている中に、自らな一味の哀情が、徐に彼をつつんで来るのを意識した。このかすかな梅の匂につれて、冴返る心の底へしみ透って来る寂しさは、この云いようのない寂しさは、一体どこから来るのであろう。――内蔵助は、青空に象嵌をしたような、堅く冷い花を仰ぎながら、いつまでもじっと彳んでいた。
(大正六年八月十五日)