Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
げさくしゃ
戯作者
国枝 史郎
Lisez 戯作者 (げさくしゃ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 218 caractères · 21 écrans
無駄な時間を費やさぬがよい」
「御教訓忝のう存じます」
馬琴は礼を云って引き退ったが、心中多少不満であった。極意についての解釈も、解ったようで解らなかった。従って「八犬伝」の続稿も、書き進むことが出来なかった。憂鬱の日が続いたのである。
しかし間もなく意外な事件が馬琴の身上に降って湧いた。そうしてそれが馬琴の心を、ガラリ一変させたものである。
ある夜、馬琴はただ一人、柳原の土手を歩いていた。
と、一人の若侍が、暗い柳の立木の陰から、つと姿を現わしたが宗十郎頭巾で顔を包み黒紋付を着流している。
馬琴は気味悪く思いながらも、引き返すことも出来なかったので、往来の端を足音を忍ばせ、しとしとと先へ歩いて行った。すると、ひそかに心配していた通り、覆面の武士が近寄って来た。スルリ双方擦れ違った途端、キラリと剣光が閃いた。
「抜いたな」と馬琴は感付いたが、却も走りもしなかった。かえって彼は立ち止まったのである。それから静かに刀を抜くと、それを下段に付けたまま悠然と体の方向を変え、グルリ背後へ振り向いて辻斬の武士と向かい合った。
「うむ、ここだな、無念無想!」
馬琴は心で呟くと、故意と相手の姿は見ずに自分の足許へ眼を注けた。