Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おうぎの

扇野

山本 周五郎

Lisez 扇野 (おうぎの) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 727 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

ぜんたいがごつごつしているためだろう、あとでわかったのだが、若い女中たちは彼女のことを、蔭で「栄螺さん」と呼んでいた。栄螺さんはあいそがよく、窓や障子をあけ放しながら、港の向うに見える島々の名や、黒ぐろと樹の茂った丘が御城であることなどを教えてくれた。

「誰かお馴染さんを呼びましょうか」

注文を聞いてから栄螺さんが云った。栄三郎は馴染はないが二三人呼んでくれと答え、すすめられるままに風呂へはいった。

夕凪というのだろう、風が死んだようにおちて、風呂できれいにながした汗が、座敷へ戻るとすぐにまた滲み出てきた。酒肴を運んで来たのは、軒行燈に火を入れていた若い女中であった。眼にちょっと険はあるけれども、利巧ですばしっこそうな、愛嬌のある顔だちで、名を訊くと、喉で(うがいでもするように)えへえへと笑ってから、芝居の壺坂霊験記に出てくるのと同じ名前だと答えた。つまりおさとというのであった。

盃で三つばかり飲んだとき、年増の芸妓が二人来た。ようやく日が昏れて、座敷にも明るく燭台が並び、芸妓の一人が三味線を持つと、一人が鄙びた音頭などをうたいだした。栄三郎はすっかり気が沈んでしまった、妓の唄はもの悲しく、その文句は(港町らしく)流別を嘆いたものが多かった。