Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lisez 播州平野 (ばんしゅうへいや) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 683 caractères · 214 écrans
ひろ子はそう思った。
「間違いのない方向はあるんだから、それで着々やって行けばいいわけなんだ――それにしてもいつ頃帰って来られるだろうな、みんなは……」
「治安維持法をいつ撤廃するか、それが問題だ」
「おそくても、今年のうちには、やらざるを得まい」
「一日も早く帰したいわ、ねえ、ひろ子さん」
きいているひろ子は、熱い大波に体ごとさらわれるようなこころもちがした。
「あんまり云わないで……」
ひろ子は弱々しく篤子に囁いた。十二年の生活の間に、ひろ子は、きびしく自分をしつけて来た。重吉と自分とのことで、世間並にうれしいこと、そうありたいこと、そうなったらばどんなに嬉しかろうと思える予想には、最大の用心で、うかつにうれしがらないように抵抗した。
拘禁生活の七年目に、重吉が腸結核を患って、危篤に陥った。拘置所の医者が、ひろ子に「時間の問題です」と告げた。医者は検事局へ、入院手当させる最後の機会であることを通告した。そのことも、ひろ子は知っていた。ひろ子は、どんなに療養所を調べ、医者に相談し、費用を調達して、待っただろう。
検事局は、拘置所の医者の注意を拒絶した。重吉が思想の立場を変えないからというのが却下の理由であった。